お茶で有名な宇治は、お抹茶を使った食べ物がたくさんあって、抹茶メニューを食べ歩くことがとても楽しいです。
抹茶グルメは、別の記事に書いています。 新しいお店も増えて、オシャレな雰囲気になっている宇治。 もともと観光地なので海外の方をよく見かけますが、アジア系の方が本当に多くなったなと感じます。 抹茶グルメを求めて散策しました。 宇治橋通り商店街 ...
京都・宇治で楽しい抹茶グルメ散策!
そんな抹茶づくしの宇治の地において、予約がなかなか取れないほどの人気のお店があります。薬膳料理の『茉莉花(ジャスミン)』です。
薬膳料理と聞くと、「身体に良いとは思うけど、口に合うのかな…」というのが、多くの方のイメージするところだと思います。
私も、薬膳には興味はあるものの、あまりにも未知の世界で、なかなかハードルが高いなと感じていました。
しかし、ジャスミンさんの薬膳は、そんなイメージを払拭してしまうどころか、幸福感に満たされるという最高のお食事だったのです。
宇治の地で異彩を放つ人気店
ジャスミンさんは2008年にオープンしたお店で、店主の方は漢方医の先生でもいらっしゃるようです。
JR宇治駅と京阪宇治駅のどちらからでも徒歩5分ほどの立地ですが、細い路地にあるため少し分かりにくいです。
「宇治橋通り商店街」にある『食品館アプロ』というスーパーを目印にするといいかもしれません。スーパーの横の路地を入ります。
店内は、普通の一軒家のような家庭的な雰囲気で、靴を脱いで上がります。2階もありますが、テーブル数はそれほど多くないので、予約して行くことをおすすめします。
実際にお店の案内にも『予約優先』とありまして、飛び込みでの入店はなかなか難しいと思われます。
ランチの予約は2部制で、11時30分からと、13時30分からです。ディナーは金・土・日曜日のみの営業で、完全予約制です。
電話は、お店のホームページによりますと、午前9時から11時頃が比較的繋がりやすいようです。
私は過去に、満席で予約ができなかった経験がありまして、今回は、1ヶ月ほど前から予約をしました。
お店には2度伺ったのですが、どちらの日も満席でした。食事中も、予約の電話が頻繁に入っていました。
客層は、女性のグループが多いですが、ご夫婦やカップル、ご家族でいらしている方もいました。
店内は、テーブルがゆったりと広く使えて、隣りの席の方の声も気になりません。インテリアも、中国茶の急須などが飾られたシックな色味で、洋楽のBGMが流れていたり、とても落ち着いた雰囲気の中で食事を楽しむことができます。
美味しさに感動!初めて出会う食材も
まず初めに、ジャスミン茶を一人ずつ急須で出して下さいます。

湯のみは、手のひらにちょこんと乗るサイズの器なのですが、その可愛らしい器に注ぐのが楽しく、たくさん飲んでしまいます。ホッとする美味しさです。急須のお湯がなくなれば、また足して下さいます。
ランチは4種類あって、うち3つが2300円で、一つは3000円という価格設定になっています。
『キレイ&健康』を基本テーマにして作られるお料理は、その季節にあった旬の食材と生薬を使った中国・蘇州(中国料理発祥の地)の家庭料理の味なのだそうです。
メニューは月替わりになっています。
私は2月と9月のメニューを頂いたことがあるのですが、お料理には、「腎機能を高める」「肺機能を高める」というようなテーマがあります。毎月、お店のホームページにテーマとメニューが掲載されます。
まずこちらは、2月のテーマ「腎機能を高める」のメニューから、『特製葱油麺&金木犀入り漢スープの薬膳』。
メインのお料理が、「焦がし葱と全粒麺の和え麺」と「季節の野菜と豆腐がたっぷり入った金木犀入り竹スープ」です。
文字からは想像ができないメニューばかりで、頭の中が『???』となります。
中でも、『竹スープ』というのが一番の謎メニューですが、その名の通り、竹を煮込んで作るスープです。
竹は竹でも、中国の黄山(こうざん)という所の竹を、塩漬けにして、土の中で1年間発酵させて、さらに塩でもみ洗いしたものを約3時間煮込むのだそうです。中国でも珍しいもので、高級食材だとか。
気になるのはそのお味です。恐る恐る飲んでみましたが、全くクセがなく、とても美味しいです。この竹スープは、全てのお料理のベースに使われているそうです。
こちらは『高麗人参入り旬野菜のポトフの薬膳』で、3000円のお料理です。野菜がたくさん入っていて食べごたえがあります。
メニューの詳細には、お肉は「若鶏」とあったのですが、実際には三元豚のスペアリブでした。
私は、お肉があまり得意ではないので、食べられるかな…と不安だったのですが、口の中に入れると溶けそうなほど柔らかく煮込まれた豚肉で、美味しく頂くことができました。
自分でゴマを擦り、その器の中にポトフを入れて頂きます。擦りたてのゴマがとても良い香りで、ポトフの美味しさがより引き立ちます。
全てのランチセットには、4種類の小皿が付いています。

この時は、「慈姑(クワイ)の漢サラダ」、「ゆで卵の漢サラダ」、「干し豆腐の竹スープ煮」、「柚子トマト」でした。一番手前のものは、3000円のセットにのみ付いている「自家製ザー菜とラッキョウ」です。
クワイは素揚げしてあるのか、止まらない美味しさでした。こんなに美味しいクワイ料理は初めてでした。
卵のサラダも、今までに食べたことのない味付けなのですが、とても美味しいです。
写真にある麺類のようなもの、これが「干し豆腐」です。食べてても豆腐とは思えないのですが、これもまた美味しかったです。
そして、湯剥きしたトマトの「柚子トマト」。一見シンプルですが、柚子の風味とほんのりと蜂蜜の優しい甘さがマッチしていて、爽やかな美味しさです。
次に、こちらが9月のテーマの「肺機能を高める」のメニューから、『上海粥&若鶏竹蒸しの膳』です。
雑穀米を使った生姜の上海粥は淡いピンク色で、生姜と三つ葉の風味がよく効いていて、一口ごとに深い深い美味しさが身体にしみていくようです。
若鶏は、大蒜(にんにく)醤油でいただくのですが、柔らかくて、ミョウガととてもよく合います。
こちらは、『蘇州水餃子&漢おこわの薬膳』です。
三つ葉と三元豚が入った水餃子を、黒酢でいただきます。三つ葉の風味と黒酢でさっぱりとした味になり、とても美味しいです。
おこわは、蓮の葉で包まれた鶏おこわで、一口目よりも、二口目、三口目と食べるごとに味わいが増していき、薄味なのに風味がしっかりとしていて美味しいです。
4種の小皿は、今回はピリ辛のラー油が効いた「干し豆腐」、前回と同じ「柚子トマト」、小松菜にクルミとピーナッツの香ばしさが効いた和えもの、そして、淡路の玉ねぎに特製肉味噌が添えられたものです。どれも異なる味わいでそれぞれに美味しく、小皿だけでもお腹がいっぱいになります。

ランチには、デザートが2種セットになっています。
「杏仁豆腐と黒ゴマあん入り白玉」で、冷たい杏仁豆腐と、お湯に浸かった温かい白玉です。

杏仁豆腐は、雑味がないと言いますか、上品な甘さでとてもなめらかです。シンプルな味わいなので、上に添えられている3粒ほどの黒ゴマだけでも、それがとても効いています。量もけっこうたっぷりあります。
白玉は、味のない単なるお湯に浸かっているのが面白いなと思ったのですが、中国では「湯円(タンユエン)」といわれる縁起物のスイーツなのだそうです。
中の黒ゴマあんに特徴があり、一般的なペースト状ではなく、シャリシャリとした食感で面白いです。上品な甘さが本当に美味しいです。
ちなみに、単品のメニュー欄を見てみると、上海粥が800円、若鶏の竹蒸しが1000円、デザートが500円となっていて、この時点で2300円なので、4種の小皿が付いているランチはとてもお得だなと感じました。
身体と心に染み渡る薬膳料理
一口ごとに「美味しい」「美味しい」と言葉が出るお料理は、一つ一つが丁寧に作られていることがとても伝わってきます。
シンプルなようでいて深みがある味わいは、お腹だけではなく、身体中にゆっくりとじんわりと浸透していくようで、食べ終えた時には、優しい気持ちに満たされる感じがします。
全てのお料理にお肉(鶏肉または豚肉)が使われていることもあり、お腹はとてもいっぱいになるのですが、不思議と食後に胃が重苦しいということも、胃もたれすることもありません。
2月に訪れた時は、外は雪が降っていて、とても寒い日だったのですが、食後に外を歩いていても身体がずっとポカポカしていました。
私たち人間の身体は、季節と食べ物にとても影響を受けるようで、例えば、夏場の冷たい飲食物や冷房の影響で、身体に冷えが残り、それが秋になって風邪をひく原因に繋がるとも言われます。
積み重なったものが季節をまたいで現れたりするのですね。
ジャスミンさんのホームページには、その月のテーマの詳細とともに、その季節にはどんなものを食べればいいのかなどの情報も載っています。
「薬膳」というのは、食事で健康になるという中医学に基づく食養生ですが、それぞれの季節に合った食材に、生薬の薬効を上手に使って組み合わせたお料理で、春夏秋冬を意識した理にかなった食事ということなのですね。
和食でも、生姜やわさび、しそ、ネギ、とうがらし、山椒などの「薬味」といわれるものを食材に添えていただくので、「薬膳」が特別なジャンルというわけではなく、日本人の食事と近いところがあるのだと気付きました。
ジャスミンさんのメニュー表には、『ちょっと疲れたとき、元気が欲しいとき、ほっこりくつろぎたいとき、お肌の状態が気になるとき、そしておいしいものが食べたいとき、そんな時は是非茉莉花にお越しくださいね。』と書かれていました。
私は、この優しさに満ちたメッセージに心が打たれました。
予約が必要ではありますが、宇治へ行かれる際には、ジャスミンさんの心のこもったお料理を是非召し上がってみて下さい。ホームページにあるように、まさに、『心身を慈しむ薬膳のこころ』を感じるお店です。
薬膳料理「茉莉花(ジャスミン)」【店舗情報】
- 住所:京都府宇治市宇治妙楽169-7
- TEL:0774-23-3753
- 営業時間:ランチ(2部制・予約優先)11:30~13:20、13:30~15:30(L.0.14:00)、ディナー(金土日・予約のみ)18:00~21:30(L.O.19:00)
- 定休日:月曜・火曜
- アクセス:JR宇治駅から徒歩4分、京阪宇治駅から徒歩5分
- URL:http://uji-jasmine.jugem.jp/