一般的に、生後100~120日目に行うとされる「お食い初め(おくいぞめ)」。
そのお祝いに招かれたのですが、外食店に『お食い初めプラン』があることを初めて知りました。
経費の面でも、赤ちゃんやお母さんの体調面でも、外食店を利用することは簡単な決断ではなかったと思います。それでも、赤ちゃんの両親は「親戚で集まる良い機会になり、久しぶりに外食を楽しめて嬉しかった」と言っていました。
私にとっても、そう何度も体験できるものではないので、貴重な会席となりました。
リラックスできる個室
私たちがお伺いしたのは、神奈川県内に数店舗展開している『日本大漁物語きじま』の新横浜店です。新横浜プリンスホテル内にあり、駅からも近く、分かりやすい立地です。

案内された個室は離れのような作りになっていて、掘りごたつ式でとてもリラックスできました。
部屋には、あらかじめクーファン(赤ちゃんを寝かせるグッズで取っ手の付いたもの)を用意して下さっていたので、とても助かっていたようでした。赤ちゃんはそこで気持ちよさそうに眠っていました。
離れのような個室とは言っても他の部屋と連なってるので、近くの部屋にいるお客さんには赤ちゃんの泣き声はしっかりと通ります。ご迷惑になっているんじゃないかと気がかりで…。途中から寝てくれたので少しホッとしました。
作法が分からなくても大丈夫
私たちは、大人が6人いるにもかかわらず、恥ずかしながらお食い初めのことは誰もあまり分かっていません。
しかし、スタッフの方がひとつひとつ説明しながら進行して下さるので、何も難しいことはありませんでした。初めて知ることばかりで、こちらも勉強になりました。
赤ちゃんのお食い初め膳は、きじまさんのサービスになっていて無料でご用意して下さいます。伝統的な一汁三菜に、歯固め石が付いています。

一汁のお吸い物は、『吸う力が強くなるように』、また、歯固め石は、『小石のような堅いものでも食べられるほどの丈夫な歯を授かるように』との願いからだそうです。
使用する食器にも決まりがあり、正式には、漆器の高足の御膳で、その漆の色も男の子は朱塗り、女の子は外側が黒塗りで内側が朱塗りというふうになっているのだそうです。
お食い初めとは、赤ちゃんに実際に食べ物を食べさせるわけではなく、『食べるさせる真似』をする行事とのことで、お箸の先をお料理にちょんちょんと当てて、それを赤ちゃんの舌にもちょんちょんと当ててあげました。
口に運ぶ順番も決まっていて、正式には『ご飯、お吸い物、ご飯、魚、ご飯、お吸い物』の順番で、これを3回繰り返すのだそうです。
なお、きじまさんでは、魚(鯛)はサービスには含まれていませんので、鯛も用意したいという方は別途料金が必要になります。(私たちの会席では鯛は見かけなかったので、用意しなかったようです)
また、赤ちゃんに食べさせる役にも決まりがあって、長寿にあやかって、身内の長寿(最年長)の人が行います。
さらに細かく言えば、赤ちゃんが男の子なら男性の右ひざに、女の子なら女性の左ひざに乗せて行うのだそうです。(私たちの場合は、赤ちゃんは大人の両膝を占領して寝転がっていました)
そして、最後に、歯固めの石にお箸をちょんちょんと当てて、赤ちゃんの歯茎にお箸をちょんちょんと当てて終了です。
お箸でちょんちょんと口に当てるたびに、違和感があったのか赤ちゃんが必ず泣いて反応していました。
豪華なお料理
お食い初めが終わったあとは、大人用のお料理が運ばれてきます。赤ちゃんのお食い初め膳は全員でいただきます。
とても豪華で大満足のお料理でした。
食べることと話すことに夢中で、詳しい食材を覚えていないのが悔やまれます。特に、季節の食材で天ぷらやデザートに使われていた珍しいものがあったのですが…。

前菜

お造り
本来のメニューは『厳選霜降り和牛のしゃぶしゃぶ』とのことですが、私たちは魚メニューに変更してもらいました。鯛しゃぶです。

海老と季節野菜の天ぷら

季節の炊き込みご飯

季節のデザート
嬉しいサービス
きじまさんは、個室使用料やサービス料なども一切なく、お食い初め膳やクーファンまで用意して下さいますが、嬉しいサービスは他にもありました。
お食い初めの儀式のすぐあとに記念写真を撮って下さったのですが、その写真をプリントアウトして、メッセージカード形式でプレゼントしてくれました。

つい先ほど撮った写真を、食事が終わるころにお部屋まで持って来て下さって、とても嬉しかったです。そこでもまたワイワイと盛り上がり、あまり会う機会もない親戚でしたが、とても楽しい時間を過ごすことができました。
また、スタッフの方がお料理を運んできてくれるたびに、赤ちゃんの様子にも触れて下さって、よく見て下さっているなとありがたかったです。
お食い初めに思うこと
お食い初めは、日本だけの儀式なのかなと思って調べてみると、儒教を重んじる国には生後100日をお祝いする儀式があるようです。
日本でのお食い初めの起源や由来ははっきりとはしていないようですが、平安時代から行われているともあります。100日(百日)を祝うので、「百日祝い(ももかいわい)」ともいうそうです。
『子供が一生食べ物に困らないように』との願いが込められたお食い初め。それぞれの地域の風習と馴染みながら数百年も続いているこの文化が、これからも残っていって欲しいなと思います。
記憶にはありませんが、我が家のアルバムにも自分のお食い初めの時の写真があります。今は亡き祖母の手が、私の口元にご飯を運んでくれている写真が1枚だけ。
今まではなんとなく見ていた写真でしたが、大人の立場からお食い初めを経験すると、どれだけ多くの愛情をもらっていたのかと感謝の気持ちでいっぱいになります。
1歳の「一升餅のお祝い」も
一升餅のお祝いにも招かれまして、また、きじまさんにお世話になりました。
名前がプリントされた可愛らしいお餅を用意して下さいます。

このお餅を、お店のスタッフの方が赤ちゃんに背負わせてくれるのですが、泣いて泣いて…。まだ一人で歩くことができなかったので、大人が手を持って数歩進むことができました。

今回のお部屋は離れではない個室だったので、泣き声もそれほど筒抜けではなかったようで助かりました。
お餅は、そのまま持ち帰ってもいいですし、希望すれば食べやすいサイズにカットして下さいます。私たちはカットをお願いしたのですが、必要な世帯分ごとに小分けにもして下さいました。
お食い初めの時と同じように、記念写真とメッセージカードのサービスもありまして、今回もとても素敵な時間を過ごすことができました。
《参考にさせて頂いたサイト》「百日祝い」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』
日本大漁物語きじま 新横浜店【店舗情報】
- 住所:横浜市港北区新横浜3-4 新横浜プリンスホテル2F
- TEL:045-470-0828
- 営業時間:平日(昼)11:00~14:30(夜)17:00~22:00、土日祝11:00~22:00
- 定休日:なし