お正月に会った友人に、辻利兵衛本店の『京福茶』というものを頂きました。
紅白に金色があしらわれたパッケージに、「福」という文字がパッと目に入り、瞬時におめでたい気分になります。とても嬉しく、同時に、「福」という文字の力は偉大だなと感じます。

『京福茶』というのは辻利兵衛さんのオリジナルの商品名のようで、もとは「大福茶(おおぶくちゃ)」とよばれるお茶です。
縁起の良さそうな名前ですが、あまり馴染みがないお茶でもありましたので、味わいつつ調べてみました。
「大福茶」ってなんだろう?
お正月や節分、大晦日などに縁起物の「福茶」というものを飲むことがあるそうなのですが、特に元旦に飲むお茶を大福茶(おおぶくちゃ)というそうです。
主には、京都の家庭で飲まれていて、煎茶(緑茶)に梅干しと結び昆布を入れて頂くようです。
「大福茶」とは、なにか特定のお茶の種類を表したものではなく、それぞれのご家庭によって異なり、お茶屋さんによっても使う茶葉はさまざまなのだそうです。
元日の朝一番に汲んだ水(若水)を沸かしてお茶を入れるのが決まりで、昔から「若水は1年の邪気を払う」と言われています。また、縁起をかついで、梅干しは「しわが寄るまで(長寿)」、結び昆布は語呂合わせで「睦みよろこぶ」の意味合いがあるようです。
簡単!セットが嬉しい京福茶
さっそく、辻利兵衛さんの大福茶である『京福茶』を頂きます。
開封すると、お茶のティーバッグ、小梅、結び昆布が5個ずつ、そして、おみくじも入っていました。このちょっとしたおまけが嬉しいです。
お茶は緑茶で、小梅は紀州産、昆布は北海道産と表記がありました。
裏面の作り方を見ながらお茶を入れます。
- まずは、沸騰したお湯を湯飲みに入れて器を温め、約30秒ほど放置してお湯を冷まします。
- 次に、人数分のティーバッグを急須に入れて、湯飲みで覚ましたお湯を入れます。私は二人分を作ったので、ティーバッグを2個使いました。
- そして、湯飲みに梅干しと結び昆布を入れて、急須のお茶を注いで出来上がりです。
手軽に豪華なお茶が作れてとても良いです。美味しい梅昆布茶でした。
辻利兵衛本店は楽天にオンラインショップがあるので、季節になればこちらでも買えるのかなと思っています。
大福茶の歴史は平安時代から
私は大福茶というものをよく知らなかったのですが、少し歴史を掘り下げますと、起源は平安時代です。
951年、村上天皇の治世に京の都で疫病が蔓延し、六波羅蜜寺の空也上人が、梅干と昆布を入れたお茶を薬茶として人々にふるまったところ、疫病がおさまったという伝えがあるそうです。
そして、この功徳にあやかり、村上天皇が毎年元旦に同じお茶を服して人々の無病息災を祈り、次第に年賀の行事として庶民に広がったのだそうです。
天皇(王)が服す茶ということで「皇福茶(王服茶)」、いつしかそれが、新年を祝福する縁起の良いお茶「大福茶」となり、現在にも続く習慣となっているとのことです。
毎年、空也上人のゆかりの寺である六波羅蜜寺では、正月三が日に「皇服茶授与」という行事があり、参拝客に大福茶が振る舞われるようです。
また、北野天満宮では、お正月の準備を始める「事始め」の12月13日から『大福梅(おおふくうめ)』の授与があります。こちらの梅は神社の境内に実った梅で、神職や巫女の方が総出で採取・塩漬け・土用干しなどの作業をしておられるのだそうです。そして、この大福梅を使って、元旦に大福茶として各自頂くようです。
平安時代は薬として考えられていたお茶ですが、今考えてみても、大福茶にはお茶のカテキン、梅のクエン酸、昆布のミネラルと、身体に良いものばかりが含まれていますね。
頂いた京福茶をきっかけに大福茶の歴史を知りましたが、1000年以上もずっと今まで続いているということに感動しました。
新春に、幸多き一年を願って頂く大福茶。これは私も毎年の習慣にして行きたいと思いました。