デパートの北海道物産展で偶然出会ったパン屋さん『ノルトエッセン』。
材料にこだわった、安心と安全の無添加パンを30年作り続けているパン屋さんです。
実店舗は雪深い北海道の地にあり、ご夫婦二人で営んでおられるようで、冬の間はお店を閉めて、その期間は全国の北海道物産展などにパンを提供されているのだそうです。
つまり、北海道の店舗では冬期以外はパンを買うことができますが、本州では、冬季限定の催事でしかお目にかかれないということになります。
以来、私は、北海道物産展の開催を知るたびに、「ノルトエッセンさんは来るかな」と心待ちにしています。
なんて個性的…クロワッサンに驚く
ノルトエッセンさんのパンは、とても個性的な味わいです。一般的な、普段よく知るパンとは「別物」という感じです。
まだほんの数種類しか味わったことがないのですが、私はクロワッサンがとても気に入っています。

こちらのクロワッサンは、白神酵母(しらかみこうぼ)と小麦胚芽が使われているミニサイズのクロワッサンで、3個セットで販売されていました。
原材料もとてもシンプルで、『北海道産小麦、バター、小麦はいが、甜菜糖(てんさいとう)、卵、食塩、白神酵母』となっています。卵は、平飼いの無添加卵を使用とホームページにありました。

私は、初めてこちらのクロワッサンを口にした時にとてもびっくりしまして、一口目を食べた時に味がしないのです。「何これ!?」と思い、原材料名を確認したほどです。
砂糖(甜菜糖)も食塩も入っているのに、甘くもないし、塩気も感じない…。でも、クロワッサン特有のサクサクとした食感はあるし、胚芽の風味もしっかりと感じる…。
美味しいのかそうでないのかよく分からないまま、不思議な感覚で最初の一つを食べ終えました。
ノルトエッセンさんのパンは、保存料などの添加物が何も入っていないので、消費期限がとても短く設定されています。購入した時に、「すぐに冷凍保存して下さいね」とお店の方に言われました。
余談ですが、『パンは冷凍保存すれば鮮度を保てる』ということを、私はこの時に初めて知りました。
家に帰るとすぐに、3個セットのクロワッサンを一つずつに分けて冷凍しまして、毎日一つずつトーストしていただきました。
最初の一つ目は味が分からないまま食べ終えまして、翌日に2つ目のクロワッサンを食べてみると、やはり特徴的な味は感じられません。
しかし、噛みしめて味わっていると、味に慣れて来たのか、一つ目の時よりもほんのりとした甘みを感じました。そして、癖になるサクサク感と、胚芽の風味がとても美味しいと思うようになりました。
さらに、翌日に3つ目を食べた時には、もうすっかりこちらのクロワッサンの魅力にはまってしまいました。
一般的なクロワッサンの魅力と言えば、バターの風味がしっかりとしている点だと思います。食べ終えてもしばらく風味が残ることも多いです。
しかし、ノルトエッセンさんのクロワッサンは、バターの風味はあるものの、とてもあっさりとしていて、ベタベタした感じが全くありません。
そして、クロワッサンの最大の特徴であるサクサクとした層の部分ですが、ミニサイズであるにもかかわらず、とてもキレイな層になっているのです。
丁寧に作られていることがうかがえました。
30年貫くこだわりが凄い
催事で初めてノルトエッセンさんのパンを見た時に、使われている酵母の種類がとても多いことに驚きました。
見た目は同じようなパンが並んでいるのですが、「リンゴ種」「馬鈴薯(じゃがいも)種」「カボチャ種」などの酵母の種類が表記されていて、選ぶのにとても迷いました。
今は、『自家製酵母』を使用しているパン屋さんを多く見かけるようになりましたが、一つのパン屋さんで、パンの種類ごとに使う酵母を変えていて、かつ、それを商品名として全面的に出しているというお店はとても珍しいと思います。
私は、このようなパン屋さんは初めてだったので、『リンゴ種のパンとは、リンゴが入っているパン?』『リンゴは入っていないけど、リンゴの味がするパン?』などと味のイメージができず、とても混乱しました。
試食もいくつか用意して下さっていたのですが、催事場というザワザワとした雰囲気もあってか、私は味の違いがあまり感じ取れませんでした。
実際には、リンゴ種のパンはほのかにフルーティーな香りが、カボチャ種はほんのりとカボチャの香りがするようです。
ノルトエッセンさんは、こうした自家製酵母を20種類、30種類と開発されていて、30年間、パンによって自家製酵母やホシノ天然酵母、白神酵母などを使い分けていらっしゃるそうです。
お店のブログによると、本来のパンというものは、『一つのパンは一つの配合・一つの仕込で作る』という基本倫理があるのだそうです。
つまり、お店に並んでいるたくさんの種類のパンは、一つ一つが違う配合と仕込みで作られるのが本来の姿で、ノルトエッセンさんはこの基本を貫き、一つ一つのパンを配合や原材料、仕込みを変えて作っていらっしゃるようです。
私はまだ味わったことがないのですが、人気のパンの一つに『完全無糖パン』というのがあり、これは、自家製天然酵母と自然塩だけで作られた、その名の通り、糖分が一切入っていないパンなのだそうです。
砂糖を使わずに美味しいパンを作るのはとても難しく、従来のパンというのは、添加物を使って短時間の発酵で美味しくしているそうなので、独自の製法で、安心安全というポリシーをここまで貫いておられるお店はなかなかお目にかかれないなと思いました。
保存料などを加えていない無添加のパンにとって、北海道から遠く離れた催事への出店というのは、品質の維持や管理の面でとても大変なのだそうです。
私は、北海道物産展が開催される時にはいつも出店されていると思っていましたが、基本的には冬季限定だということを失念していました。これは、催事自体が冬期に当たらなかったら、年に一度もお会いできないのだなと気づきました。
パンと一緒に頂いたチラシには、『全国宅配』という文字がありましたので、配送もして下さるようです。

また、催事への出店情報は、お店のブログで案内されるようです。
厳選された北海道産の素材を使い、天然酵母をパンによって使い分け、製パン添加物などは一切使用しない。とても個性的で、安心と安全、そして愛情がこめられたパンをいただけるとても貴重なお店です。
ノルトエッセン【店舗情報】
- 住所:北海道石狩郡当別町金沢2006-1
- TEL:0133−25−5110
- FAX:0133−25−5220