キトラ古墳と高松塚古墳の壁画を見に行ったあとに、高取町の薬膳料理のお店「花大和(はなやまと)」でランチを頂きました。
壁画見学は、別の記事に書いています。 キトラ古墳の壁画が一般公開されるとニュースで知り、第1回特別公開へ行ってきました。 ちょうど同時期に、高松塚古墳の壁画も一般公開されるとあり、合わせてインターネットから見学の申し込みをしました。申し込 ...
悠久の歴史に感動…キトラ古墳と高松塚古墳の壁画を見に行ってきました
キトラが「壺阪山(つぼさかやま)駅」、高松塚が隣の「飛鳥駅」、そして花大和さんが再び「壺阪山駅」という移動で、初めて訪れる土地だったこともあり時間が読めず、ランチを予約したのは当日の13時半を回っていたと思います。
高松塚を見学したあとに、飛鳥駅から電話をして予約をしたのですが、突然のお電話にもかかわらず快く受け入れて下さいました。本当にありがたかったです。
お店の情報によりますと、壺阪山駅から徒歩で15分とありましたが、20分は見ておいたほうがいいかなと思いました。
ランチは14時30分までだったので、なんとか時間内に間に合いそうだったのですが、なんと道に迷いまして、到着したのが15時近くになってしまいました…。右折しなければならない道を通り過ぎていました。
途中、お店には道に迷った旨を伝えていたのですが、お店の前で女将さんが待ってて下さり、もう本当に申し訳なかったです。
ルートとしては、駅から石畳の通りへ入り、石畳が終わるところ(左手の郵便局が目印)を右折です。さらに、傾斜の道を上って行くと左手にモダンなコンクリートの外観が見えてきます。
現在は近代的に建て替えれらていますが、創業は明治37年という老舗です。

おいしく学ぶランチタイム
もうランチタイムは過ぎていることもあり、店内は私たちだけです。
内装がとても素敵で、落ち着いた雰囲気です。なんといっても、窓から見える山や池の自然の景色に心が和みます(この日は、あいにくの曇り空でしたが…)。

こちらの池は、高取城主が江戸時代に農業用水として作ったもので、一万坪もあるのだそうです。
ランチは、3500円と5000円のものがありまして、私たちは3500円のほうを頂きました。
それとは別に『薬茶』というものも頼みました。想像通り、深みのある色んな味がします。身体に良さそうと思える味です。私はこういうのが好きなので、美味しく頂きました。

お食事は、紅花が入った食前酒から頂きます。紅花は、女性の美肌のためには最適だそうです。甘くてとても美味しいです。

メニュー表には、使われている食材の説明がたくさん書かれているのですが、なおかつ、お店の方が一つ一つのお料理をとても丁寧に説明して下さいます。
『お食事をしながら、BGMのように聞いて下さい』と言われるのですが、ここまでたくさん説明して下さるお店は初めてで、とても勉強になりました。
食前酒の隣にあるのは、お刺身用のお醤油ですが、ただのお醤油ではないようです。
『葦根醤油(ろこんしょうゆ)』というもので、葦の根(あしのね)を3年漬け込んだ醤油で、殺菌作用が高く、古い文献をもとに現在に復活させたのだそうです。すごいですね。
メインは、欅(けやき)の箪笥ご膳です。薬味箪笥と言い、昔はこのような箪笥に薬を入れて売り歩いていて、この薬味箪笥は花大和さんだけのオリジナル箪笥だそうです。

引き出しを開けると、1段目にゴマ豆腐が入っていました。葛根入りのゴマ豆腐だそうです。
2段目には『野菜の炊き合わせ』、右の扉には『黒米のごはん』です。ごはんの色が濃いです。
この黒米がとても美味しかったので、帰りに買って帰りました。この黒米で作られたおはぎがお店の名物だそうです。

写真がちゃんと撮れておらず、どれがどれやら分からなくなってしまったのですが、『山薬(サンヤク)』のエキスや『茯苓(ブクリョウ)』という生薬が、定番のお料理には使われているそうです。
山薬は免疫力を高め、ブクリョウは消化機能を高めたり、精神を安定させる働きなどがあるそうです。
箪笥の一番上に、大きな松の実がたくさんまぶしてあるお料理があるのですが、これは、漢方薬として用いられる稀少な松の実『海松子(かいしょうし)』と説明書きにありました。
松の実は、中国では仙人が不老長寿のために常食していたと言われますが、たんぱく質と良質な脂質、ビタミンやミネラルも豊富で、美肌にも良いそうです。
すまし汁には、おそうめんが入っているのですが、これも『薬膳そうめん』というもので、ウコン、黄精(オウセイ)、紅花を練り込んで作られているそうです。ウコンは腎臓肝臓に良く、オウセイは免疫力アップと書かれていました。
写真はキレイに撮れていませんが、黄色、茶色、赤色とカラフルなおそうめんで、『家庭画報』でも掲載されるとても人気のある商品なのだと教えて下さいました。

最後は、クコの実が添えられたデザートとお抹茶です。
クコの実は、最近ではゴジベリーとも言われて、その栄養価がとても注目されていますが、古来から万能薬と呼ばれていたそうです。
最近では、着色されていたり、防虫剤に浸けられたものが出回っていることも多いそうなのですが、花大和さんで扱っているクコの実は、良質で安全なものだとおっしゃっていました。
薬膳料理ではありますが、お刺身、天ぷら、炊き合わせ、汁物、ご飯などと和食の会席料理がベースとなっているため、薬膳料理が初めてという方でもとても食べやすいお料理だと思いました。東京からも団体でお客さんがいらっしゃるようです。
本来ならば、ランチタイムが終了して、お店は中休みの時間帯だったにもかかわらず、丁寧なお料理の説明をして下さいました。長閑な景色とともに、箪笥に入った華やかなお料理に心が躍り、とても贅沢で素敵な時間となりました。
尚、3月の高取町は「町屋の雛めぐり」というイベントがあり、100軒ほどの個人の町屋に飾られたお雛様を拝見できるのですが、花大和さんでも、この期間は『お雛御膳』という特別メニューが頂けるそうです。
通販も可!上質な薬膳食材
お店のレジ付近には、お料理に使われている薬膳食材の販売コーナーがあり、紅花、クコの実、黒米を買いました。
紅花は、お味噌汁、炒め物、煮物など、どんなお料理にも使えると教えて頂き、便利そうだなと思いました。お店のスタッフの方が、紅花を2年ほど毎日摂取したところ、顔にあった大きなシミが消えたとおっしゃっていました。

眼に良いと言われるクコの実は、ヨーグルトに入れようと思い購入しました。

そして、とても美味しかった黒米です。

こちらの黒米は『黒貢米』というもので(読み方が分かりません…)、古代中国では皇帝のみが口にすることを許されたお米だそうです。説明文には、その類まれな薬効で「薬米」とも呼ばれていた特別なお米であったと書かれています。若返りにも効果があると言われるそうです。
こちらの女将さんは、毎日この黒貢米を召し上がっているそうで、そのおかげでとても元気にお過ごしなのだそうです。本当にとてもお若く見えましたし、お肌もとてもお綺麗でした。
花大和さんのお料理は、日本の薬膳料理のパイオニアとも言われる、国立富山薬科大学名誉教授の難波恒夫さんの監修によるもので、『黒貢米』もその方が推奨されているお米なのだそうです。
お店で売られている食材はFAXでの注文も可能なので、食べ終えて無くなってもまた頼むことができます。全国各地、離島にお住まいの方からも注文があるそうです。
知らなかった…「くすりの町」
壺阪山駅の駅前には、『高取町 観光とくすりの町』という年季の入った案内がありました。

私は、こちらが「くすりの町」だということを初めて知りまして、調べてみると、高取町のくすりの歴史はとても古く、飛鳥時代の推古天皇や聖徳太子の時代まで遡るのだとか。
古代宮廷には「薬狩(くすりがり)」という薬草などを採取する行事があり、明日香に都があった時代から、この地で薬狩が行われたと日本書記にあるそうです。
また、高取・飛鳥の地は、シルクロードの終着点でもあるそうで、日本で最初に漢方が根付いたとされるそうです。渡来人により、この地に薬の効用が伝わり、家伝薬などが作られるようになり、その後、大和売薬の行商で全国に広まって発展してきたようです。
花大和さんへ行くまでの道には古い町屋がたくさんあり、昔ながらの漢方薬のようなものの看板が見られました。また、石畳の道には、薬草の名前が刻まれた可愛いタイルがたくさん埋め込まれていて、薬効まで書かれてあり、これはとても良いなと思いました。

かかしにドキッ!!
高取町は至る所に「かかし」が展示されていまして、何度もドキッとしました。

遠目からだと人間に見えますが、近くに寄るとかかしだと分かるものもあれば…

近くまで行っても分からないものあります。こちらの写真に写っている「人」は、全てかかしです。

右も左もとにかく「かかしだらけ」で、なんだか人の気配がずっとあるような気がして、あれもかかし、これもかかしと確かめながら歩いていると、途中で本物の人間が作業していたりして、またドキッとします。たぶん私は、かかしに頭を下げていた気もします…。
『かかし巡り』というイベントもあるほど、かかしに力を入れておられる町なのですね。

奈良市内からは遠い飛鳥の地ですが、フリー切符などを利用するのも良いですよ。

私は、キトラと高松塚の壁画を見るために、何度も「飛鳥-壺阪山」を往復しましたが、この区間が乗り放題だったので助かりました。山がすぐ近くにある駅のホームは森林の香りで癒されますし、構内にある小さな踏切を横切って反対側のホームへ渡るのも楽しかったです。
茶寮「花大和」【店舗情報】
- 住所:高市郡高取町清水谷1064
- TEL:0744-52-2289
- FAX:0744-52-4095
- 営業時間:昼11:30~14:30、夜17:00~22:00(要予約)
- 定休日:火曜日(4名以上の予約で営業可。応相談)
- 駐車場:あり(15台)
- アクセス:[電車]近鉄吉野線・壺阪山駅より徒歩15分、[車]西名阪道郡山I.C.を橿原方面へ国道24号線を南下。国道169号線に入り約6km