神戸にはパン屋さんがたくさんあるので、パン屋めぐりをするのも楽しいものです。
雑誌で見たお店にワクワクしながら訪れたり、偶然にも新たなお店と出会ったり、そしてやっぱり老舗の味が恋しくなったり…。気づけば荷物がパンばかりになることもあります。
そんな、パン屋さんが集まる神戸に、行列ができるお店があります。2013年にオープンした『パンやきどころ RIKI(リキ)』さんです。「パンやきどころ」というネーミングがとても心に響きます。
買えたらラッキー!?小さなパン屋さん
お店は、南京町西安門の近くにあります。公式案内によりますと、大丸百貨店から南京町に入って、まっすぐ進んで、南京町を出た筋を左に進むと分かりやすいようです。
左に進んで行っても、お店自体は少し分かりづらいのですが、少し離れたところからでも行列が見えますので「あの辺りだろうな」という予想はつきやすいと思います。とはいえ、もし行列が見当たらなかったら通り過ぎてしまいそうなほど、シンプルで落ち着いた外観の小さなパン屋さんです。
RIKIさんは、『売り切れ次第閉店』と外看板に表記されていることもあって、『朝に行かないと買えない』とか、『お昼にはほとんど売り切れてた』という噂をよく耳にしていて、購入することが相当困難なパン屋さんだという認識です。いつか食べてみたいと思いつつも、ハードルが高くなかなかお伺いすることができませんでした。

そんな中、元町に行く用事があったので、場所だけでも確認しておこうという軽い気持ちでお店の様子を伺いに行きました。
この日は、土曜日の午後だったので、三宮・元町界隈はとても賑わっている時間帯です。まだパンが残っているとは到底思えなかったのですが、ちらりと遠くから覗いてみると行列を発見。しかし、今から並んだところで買えるかどうか…と思いつつもお店へ近づいてみると、『次の販売は14時から』との張り紙がありました。
時計を見ると、まもなく14時です。これはラッキー。すでに20人ほど並んではいましたが、ひとまず並んでみることにしました。私たちのあとにも、次から次へと人が並んでいきました。
すごい!店内でも列のまま移動
20分ほど並んで、ようやく店内が見えてきました。店内は10人も入れないほどだと思います。ここで驚いたのは、店内も、外の行列のままで進んで行っているのです。
おそらく、この時のお客さん達がたまたまそうだったのでしょうが、店内に入ったら、それぞれ自由に動いてパンを選ぶことが多いと思いますが、皆さん本当に静かでお行儀よく、列を乱すことなくパンをトレイに乗せて、お会計までその列のまま順番に済ませていました。
店内のパンは両サイドの壁に沿って陳列されているので、列のままでも取りやすいことは確かです。
トレイを持ったまま人と行きかうストレスもなく、人で商品が見えにくかったり取りにくかったりすることもなく、これはこれで快適に買い物ができるなと思いました。
店内はとてもシンプルな造りで、白い壁にウッドテイストの棚がとてもおしゃれです。
私が入店した時には、そのパンの棚が全部埋まっているわけではなく、お客さんも静かに並んでいらっしゃるので、ごちゃごちゃとした雰囲気がありませんでした。パンがとても引き立って見えました。人は多いのに、落ち着いて行列に並び、落ち着いて買い物を楽しめたという感じでした。
想いのこもった美味しいパン
朝早くに行かないと買えないと思っていたパン屋さんですが、午前で売り切れたら一度閉めて、また午後からの販売もあるということが分かりました。
パンの種類はとても多く、菓子パン、調理パン、素朴なパン、ソフト系やハード系、食パンやバゲットとそろっていました。全体的に値段がとてもお安いのですが、食パン、バゲット、クロワッサンは『日常パン』ということで、特に値段を低く設定してあるそうです。食パンは予約できるようで、店頭には予約分しかありませんでした。
お店のFacebookを見ていますと、こだわりの国産小麦や旬の野菜や果物を使ったパンが一つ一つとても丁寧に作られていることがうかがえます。
また、便利さよりも美味しさを追求することへの思いなども伝わってきます。『パンやきどころ』という名前には、「THE日本のパン屋」を目指したいという想いがこめられているそうです。
お昼にしか焼かないパンもあり、午前と午後で陳列されるパンの種類が違うそうです。惣菜パンなどのフィリングも、一からお店で手作りしていて、大量生産ということが難しいようです。
私が行った時にも、焼き上がったばかりの新しい種類のパンが追加されていたのですが、偶然出会えたらラッキーというパンが多いのかもしれません。そうなると、小まめにお店に伺いたくなります。
今回は、5種類のパンを買うことができました。
パン屋さんでは定番の『クリームパン』と『あんぱん』です。定番とはいえシンプルなものほど難しく、好みもそれぞれ分かれるところです。
あんぱんは、お店に陳列されている時に、その表面の焼き色がとてもキレイで美味しそうに見えました。私は粒あんが苦手なので、あんぱんを好んで買うことがあまりないのですが、こちらにはこし餡のあんぱんもあり、見た目から惹かれました。こんなことは初めてでしたが、食べてみて「これは正解だった」と思うほど美味しかったです。

クリームパン

あんぱん
こちらは『丹波黒豆とくるみ』。黒豆が好きな方には大満足の贅沢な量です。とても美味しかったです。

こちらは、卵、乳、砂糖、油脂を一切使ってないというパンです。このような素朴なパンがあって嬉しいです。

そして、途中で新たに焼きあがって陳列された、カルピスバターを包んで焼いたブールです。なんと贅沢な。

公式のFacebookを見ていますと、厳選した素材にこだわり、一から丁寧に作り続けることの大変さや、スタッフの手が足りずとても葛藤されている様子に応援したい気持ちでいっぱいになります。
商品の全貌を目にするということも、以前食べて美味しかったパンにもう一度出会うということも難しいパン屋さんかもしれませんが、足繫く通い、並んで買う価値は十分にあると思いました。想いがたくさん込められたパン。とても美味しかったです。
パンやきどころRIKI【店舗情報】
- 住所:神戸市中央区栄町通2丁目7-4 佐野達ビル1F
- TEL:078-392-8585
- 営業時間:8:00~19:00(売り切れ次第閉店)
- 定休日:火曜日、水曜日